輪音(わおん)ー表現者を支え続けた『これまで』と『これから』–

2013年09月22日

 

輪音(わおん)ー表現者を支え続けた『これまで』と『これから』–

『KNS』コラムを先行掲載

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輪音(わおん)—表現者を支え続けた『これまで』と『これから』–

田中冬一郎(輪音プロジェクト)

暑い夏が過ぎ、ようやく過ごしやすい気候になりましたね。KNSの皆様、2回目のコラム登場となります。☆『クリエイティブをクリエイト』する“仕組み作り”アートNPO輪音(わおん)プロジェクトの田中冬一郎です。★前回は現在の団体の拠点?である『住み開き511』について書いたのですが、今回はそもそも活動自体は2006年にスタートして、約7年となりながらも主に努力不足で未だに認知度の低いであろう『輪音プロジェクト』の活動についてお話させていただけたらと考えています。多少長くなりますが、おつきあい願えたら幸いです。

1、『日帰り店主』アートスペース『アトリエ輪音』(2006年〜2012年)
団体が出来た原点は、日本橋にあった『アトリエ輪音』という居酒屋を改造したアートスペースの制作及び運営からでした。当時、僕は2004年から道頓堀とんぼりリバーウォークで開催されていた『とんぼりワッショイ』という手作りフリーマーケット、音楽ライブの実行委員の1人だったのですが。運営側としては機材置き場や会議の為に『場所』が、そして参加してくれていた作家さんからは一時的な荷物置き場として『場所』が、それぞれに必要だという声があがって悩んでいました。その時、このイベントに来てくれていた僕の大学時代の友人から別に『いずれ壊す予定の空きテナントあるのだけど。借りる?』というお声がけがありまして、渡りに舟的に『喜んで!』と格安でお借りさせていただいたのです。そのおかげで出展作家と一緒にリノベーションし、無事に前述の悩みを解決する事が出来たのですが。今度はまた『せっかく出来たのだから、この場所でも何かしよう』という声が主に制作メンバーから出て、結果『アトリエ輪音(わおん)』という名前と、それぞれが別に仕事をしている事から無理せず『夜間に』『日替わり店主』で運営をして、不定期にイベントや展示をスタートさせました(結果、5年間の運営で38組の展示と、18回のアートマネジメント勉強会などのイベントを行いました)

2、『アトリエ輪音』から『輪音プロジェクト』へ(2008年〜)
そうして『アトリエ輪音』という場所を運営していると今度は展示をしてくれた、彼らスタート段階の『表現者』が『展示場所、発表機会がない』などの悩みを抱えている事を沢山知ると同時に、逆にイベントや場所の運営を通じて様々な『地域』の方達からは『うちでイベントや展示とかをしてほしい』という話を聞く事が増えてきました。当時の僕達は“この『すれ違い』を何とかできないか。もちろんビジネスベースではなく『表現者』仲間の1人として”問題意識を感じ始めていました。結果、そのミスマッチを解消する為に『表現者に場所と機会を提供する』をミッションに2007年に設立したのがNPO『輪音プロジェクト』です。以降、試行錯誤をメンバーとして、拠点も2回変わり、活動内容も数百のイベント開催を経て色々と変化し、2013年現在では『場所や機会を提供する』言わば機会創出だけでは、根本的な問題解決には繋がらないと結論づけた事からミッション自体を『クリエイティブをクリエイト』に変更し、表現活動の枠や仕組み自体を『より良くする』という観点から、今は『日常の避難場所』として住み開き『511』の運営を、そして関西各地の『表現者の発見』として、クリエイティブツーリズム『伝書鳩』の実行、そして関西各地の『表現の可視化』として『クリエイティブアウォード関西』といったボトムアップ活動をしていますが、基本的には設立の時からの“スタート段階の表現者”をサポートする事は当初より軸として変わらないまま。今に至っています。

3、『輪音プロジェクト』のこれから(2013年〜)
と、長々とこれまでを振り返った上で最後に僕達なりの『表現者をサポートする』活動を約7年終えて、これからの活動について予定している事を2つお話させていただきます。1つはこれまでの活動成果の具体的なフィードバックとして『ぐたい大学』というプログラム制のワークショップを行う学びの場を新しく始めようと準備しています。そしてもう1つはアサヒアートフェスティバルと連携して表現者の世界(アジア)ネットワークの構築に協力しています。2013年現在、表現者を『これまで』応援してきた結果として、ちゃんとした表現活動の『学び、そして批評の場』が、そして、その上で文化的にちゃんと『日本文化を発信する』準備が必要だと考え始めているからです。なかなかに困難な事かもしれませんが、これまでのボトムアップ活動を継続しながら、新しくこの2つについても3年後、2016年までに成果を出したいと考えています。表現者、いわばクリエイティブクラスがこれからの日本社会、そして世界をより良い方向に導く『まなざし』を提供してくれると確信しているからこそ。必ず実現させます。これまでと同じ様に。静かに。

☆『輪音プロジェクト』http://waonproject.jimdo.com/
★『住み開きをやってみた』http://www.kns.gr.jp/column/1121.html


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Posted by スナ@伝書鳩 at 11:48│Comments(0)日々の輪音
 
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